両面宿儺を訪ねて② 千光寺へ 円空について語る

 いつも給湯室をご覧くださる皆様

誠にありがとうございます。

本日は前回の記事

【両面宿儺を訪ねて① 奇跡の大歓迎】➡記事はこちら

こちらの続きになります。


両面宿儺を飛騨大鍾乳洞の「両面宿儺パネル展」で拝見し、

以前あべのハルカスで行われていた円空展を思い出しました。

私はその会場で両面宿儺坐像の実物を見ていました。

(下方にその時の写真をシェアしています)

円空は54歳頃、実に沢山の仏像を作成していますが

両面宿儺坐像もその一つになります。


両面宿儺の地は

円空もゆかりの地であることが繋がり

1,600年前に両面宿儺が開創された

高野山真言宗のお寺 

飛騨千光寺へ向かうことにしました。


その道中、

飛騨農協丹丹生川支店駐車場には

町のシンボル巨大な両面宿儺像があります。


こちらへ辿り着く前に
「宿儺の足跡」となるものが
丹生川町坊方の山中にあるそうですが
残念ながら見つけることはできませんでした。

気を取り直して

「腹が減っては戦は出来ぬ!」by.秋元先生
ということで名物飛騨高山ラーメンを食す

面が細くて食べやすくて美味しいですよ~!
ちなみにこの隣の牛串も素晴らしく美味しいですよ!!代弁


さぁ、お腹も満たされ戦開始!
訪れるは「千光寺」です。

大慈門の左側門柱には「円空上人巡錫」と書かれている

千光寺は袈裟山の標高900mに位置し

山全体が信仰の対象となっています。

その為、こちらの山中では

四国八十八か所が巡れるよう

それぞれの祠には

各礼所の御砂とご本尊の石像が祀られています。


ここで一気にお手軽にお遍路巡りができるとは!!

とはいえど、やはりお山ですので急斜面等ございます。

お参りの際には動きやすい恰好で伺ってくださいね。


景色の写真を残すのは難しいですね💦
運が良いと雲海が見えます

さて、

「円空仏の寺」と云われている

千光寺に一年程円空は滞在しながら

沢山の作品をここで生み出しました。


六十三体の円空の貴重な作品が秘蔵されている

「円空仏寺宝館」を目的にお伺いさせて頂きましたが…


なんと休館ではありませんか!!

頭の中で鐘が鳴り響く…


気を取り直して


どうやら桜の開花時期に合わせての開館のようです。

訪れる際は、千光寺さんまでお尋ねくださいね<(_ _)>


円空の人物像とは?

江戸時代、山林修行僧であった円空は生前当時、

日本各地を訪れ

関市の弥勒寺にて64歳で亡くなるまでの間に

12万体の木彫りの神仏像を残しています。


それ程有名というわけではなかった円空は

御修行の合間に病人がいらっしゃるお宅に伺っては

5センチ程度の木片に神仏像を掘り

授けていたそうだ。

横から見るとペラペラな神仏像である。


故に大切に扱われていたかと言えばそうではなく

「その仏様、物置から出てきました~」

というような扱われ方だったそうだ。

現代では、「じゃかじゃん!」の世界ですね。

(あなたの物置にも小さな木片の神仏様が潜んでいましたら是非“何でも鑑定団”へ)


円空の掘る神仏像は

なんといってもその温和な表情である。

仏像としての作りは簡素ではあるが

とてもにこやかで微笑ましいのが印象的です。


両面宿儺もどことなく親しみの持てる表情ではないでしょうか。

円空の作る作風の特徴が出ている代表作品の一つとなっています。


円空は32歳頃から修行の一環として神仏を掘り始めましたが

初期の作品では温和な表情とは言い難いものでした。

これらの作風は45歳頃から変わってきたそうです。

円空の心もまあるく温かなお人柄であったのかと想像します。


円空のお話がひと段落したところで千光寺に戻しましょう

本堂へまずご挨拶に伺いました。


歴史感じる本堂は1659年に再建され県指定有形文化財になっています。

ご本尊は十一面千手観音菩薩です。

本堂天井には龍二双が描かれています。


庫裏(くり)


歴代住職や檀信徒の位牌が祀られていて内拝できます。

中に入らせて頂きますと吹き抜けの囲炉裏があり

とても素敵ですよ。


きっと円空もその囲炉裏で仏像を彫っていたのでは

と想像します。


そしてなんといっても

一番目を引くのはこちら!!


こちらは円空展でも存在感があった

円空作の護法神と金剛神になります。

なんとこちらは発泡スチロールで作られているとのことですが

近くで拝見してもレプリカには見えません。

それ程精巧に作られています。


本堂の中へ入らせて頂き

読誦させて頂きました。


時間の関係上

これ以上お伺いさせて頂くことは叶わなかったのですが

境内には国際平和瞑想センターという

とても興味惹かれる施設もありますよ。


次回はしっかりお時間も取り

円空の作品にも

是非お目にかかりたいと思います。


最後に

私があべのハルカス円空展にて

撮影可の作品を少し撮影しておりますので

シェアさせて頂きます。


【おまけ】

円空の作品は、

意外にも学生時代から身近に見ていまして

最初に出会ったのは

私が小学生の頃に使っていた彫刻刀の青い箱に

円空仏が印刷されていました(笑)

見覚えある方もいらっしゃるのでは…☟

何て簡素な仏さん…て思っていた小学生時代
手間をかけなかった理由は、少しでも沢山の仏様を掘り
皆様に届けたいという円空からの愛です。


撮影させて頂いた神仏像は

全て千光寺さんでした!!

後でビックリです。


あべのハルカス美術館開館10周年記念

【円空ー旅して、掘って、祈ってー】にて

両面宿儺坐像

後ろの同じような恰好をした神仏像は
「観音三十三応現身立像」
どれも同じ顔は一つもなく、
本当に愛らしいお顔をしているのですよ。
元々はもっと多くいたそうです。
(両面宿儺の話でなくてすみません)



〈左〉金剛神 〈右〉護法神


金剛力士(仁王)立像 吽形
地面に立ったままの木から掘り出されたと伝わる


弁財天坐像及び二童子立像


〈左〉跋難陀龍王像〈右〉難陀龍王像


宇賀神像


〈上〉狛犬〈左・中央〉烏天狗〈右〉八大龍王像


両面宿儺は漫画「呪術廻戦」で

史上最強最悪の呪いの王として描かれていますが

飛騨高山を愛する素敵な英雄です。


その英雄は、

円空の手にかかれば

そんな鬼神のような大男でも

どこか愛嬌漂う姿に変わったのかもしれません。


私の私見も入っていますが

両面宿儺や円空を知って頂ける

機会になりましたら幸いです。


この度は長文をお読みくださり

誠にありがとうございました。


咲泉 光